友人宅の五月人形は飾りっぱなし。いつまでとか決まりはあるの?

雛人形はひな祭りが終わったら「早く片付けないと婚期が遅れる」などいいますよね。男の子の五月人形の場合には、そういう謂れはあるのでしょうか。友人宅のように、一年中出しっぱなしで飾っている家庭もよく見ますよね。

五月人形の決まり事ってあるのでしょうか。端午の節句に飾る「五月人形」の疑問を解決させましょう。

端午の節句に飾るもの一覧

大きく分けて端午の節句に飾るものには2種類あります。内飾りと呼ばれる、鎧・甲・刀・武者人形などの「五月人形」。そして、外飾りと呼ばれている「鯉のぼり・武者幟(のぼり)」です。

「内飾り」は家の中でも格式が高いとされている「床の間」に飾ります。最近は床の間がない家も多いので、みんなの集まるリビングに置く家庭が多いですね。「外飾り」は庭先に立てるのが正式な飾り方。ベランダに小さなこいのぼりを掲げている家もよく見ますね。

家にスペースがあれば置きたい「鎧飾り」

端午の節句の飾りの中では最も本格的な飾り。鎧飾りの、両側に弓太刀を添えて飾るのが一般的です。子供の健やかな成長を願う様々な道具が並ぶ、三段飾りなど豪華なものまであります。

重厚感のある江戸甲冑と、華やかな装飾が特徴の京甲冑に大別されています。土地柄をよく表していますよね。

定番の「兜飾り」

おそらく一般家庭で飾る際、一番普及しているのが兜飾りではないでしょうか。兜は、もちろん戦国武将を表しています。

ケースに入ったもの、実際にかぶれるもの、五円玉が編み込まれているものまで、種類も豊富にあり、設置する家に合わせて選ぶことができるのが利点です。

鎧兜は共に「身体を守る」という意味が重視され、交通事故や病気から大切な子どもを守ってくれるようにという願いを込めて飾ります。

「武者人形」も人気!

コンパクトなものが多く、次男三男へのプレゼントとして人気がありますね。あどけない表情ながらも、男の子らしく「強く逞しく」という願いが込められています

江戸時代には人形(ひとがた)を、神が宿る形代(かたしろ)として飾る信仰が広まっていたので、勇ましい人形に邪気払いをお願いしていたようです。

最近はあまり見なくなってしまった「武者幟」

武者幟の起源は、戦国時代の旗指物(はたさしもの)です。合戦の時に掲げている「家紋」などが描かれている旗です。元々武家が端午の節句に虫干しを兼ねて掲げていたものを、室町時代に庶民が真似をしたのが始まりです。

庶民が掲げたものには家紋だけでなく、「金太郎や武者絵、古い中国に伝わる道教系の神の絵」が描かれていました。子供に幸せな人生を送って欲しいという願いが込められて掲げていたそう。

正式には「絵のぼり・節句幟」といいますが、武者の絵が多く描かれていたので「武者幟」と呼ばれるようになりました。庶民から広まったというのは意外ですね。

端午の節句といえばコレ!「鯉のぼり」

こいのぼりは江戸時代に庶民の間で広まった風習です。武者幟によく使われていた立身出世を願う「鯉の滝登り」の図案が元になっています。

鯉の滝登りの鯉が小旗として独立。明治には立体的になり、昭和に入って真鯉・緋鯉に加え、今のように3色以上の形に落ち着きました。

鯉は生命力の強い魚。子供がどんな環境にも耐え、立派な人になるように立身出世を願う飾りです。

ハーブのように香りが強い「菖蒲」

別名「菖蒲の節句」という程、菖蒲は欠かせません。端午の節句には、盛りを迎える菖蒲を様々な形で用います。菖蒲には健康を保ち、邪気を払う力があるといわれています。

魔除けとして屋根に挿したり、軒先に飾ったり、菖蒲湯に入浴したりは今でもしますね。さらに昔は菖蒲酒を飲んだり、菖蒲の枕で寝たりしていたそうですよ

5月は春から夏へ季節が変わり、疲れが出たりします。田植えの時期でもあるので、菖蒲の力でリフレッシュし、鋭気を養っておかなければならなかったんですね。

五月人形はいつからいつまで飾るもの?

五月人形を出すおすすめの日

いつ出さなければいけないというのは決まっていません。3月20日もしくは21日の「春分の日」が終わった頃に出す家が多いようです。春分の日が終わった最初の「大安の日」は縁起も良く、もってこいの日ですね。できればこの大安の日を狙って出したいですね

注意点としては、端午の節句の1日前2日前など、「直前には飾らない」ということです。雛人形でもそうですが、「一夜飾り」はお葬式を連想させるので縁起が悪い為です。遅くとも1週間前には出しておきましょう。

武家では相手より先に陣を構えたほうが有利になり、縁起が良いとされていました。このことから五月人形も、出す時期が早ければ早いほうが縁起が良いとされています。

飾りっぱなしにするか片付けるか

お雛様は災いを人に変わって引き受けてくれる役割があります。災いを受け取っている雛人形をいつまでも出しておいては、その災や厄を再び拾ってしまうことになります。ですので3月中旬には片付けるようにとされています。

一方、五月人形は災いや厄を人形の体に溜めているわけではなく、鎧や兜で防いでくれる役割です。子供を事故や病気などの災いから守る、無病息災を願う為に飾ります。そのため、無理に片付ける必要はありません。むしろ昔は戦がいつ始まるかわからない状態だったので、鎧兜はいつでも出せるようになっていましたね。五月人形はお守りとして飾りっぱなしにしておいても良いということです。

それでも、昨今では部屋が狭かったり、床の間がなかったり、または端午の節句の季節感の為、5月中に片付けてしまう家庭もよくありますよ。

片付ける際に守る2つの注意!

せっかくきれいに片付けても、翌年出してみたら「カビが生えていた」ということにならない為にも、いくつか注意しましょう。

まず、片付ける日はお天気の良い日を選びましょう。雨が降りジメジメした空気の中で片付けると天敵である水分も一緒に押し入れの奥にしまわれてしまいます。お天気の良い日、風通しの良い所で湿気を取り、「羽根ばたき」などでホコリを払ってからしまいましょう。また、手垢も錆の原因となるので金属の所、塗り台などは乾拭きしてからしまうと良いですよ!

次に、一緒に入れておく「防虫剤」は衣類用のものではなく、「人形用」のものを使いましょう。衣類用だと、金銀の糸や金箔の変色、金属のサビなどを引き起こす成分が含まれているものもある為です。人形用なら匂いも移りにくく、穏やかに守ってくれますよ。

防虫剤・乾燥剤・除湿剤など色々ありますが、入れすぎないようにだけ注意が必要です。多すぎるとひび割れを起こしてしまうこともありますよ。

五月人形は何歳まで飾る?

いくつまで飾るのかも特に決まっていません。お守りとして飾り、子供の健やかな成長を願うものなので、いくつになっても問題ありません。その中でもいくつか説があります。

ひとつは7歳まで飾る。昔は「七五三」のお祝いもあるように、7歳まで無事に成長したことを祝うほど、乳幼児の死亡率が高かった為です。7歳というのは、ここまでくれば一安心ということでしょうか。

また、「元服するまで飾る」というケースもあります。元服は今で言う成人式なので、元服すれば大人の仲間入りですね。大体12歳〜15歳ぐらいで元服していたので、今だと小学校卒業〜中学校卒業あたりでしょうか。昔の感覚だと、子供から大人に変わる年齢なのでこのあたりも妥当ですね。

今は20歳で成人となるので、飾るという家もよくあります。普段はしまっていて、受験の年、就職する年など、大事な節目の際に「縁起をかつぐ」ために飾るということまでありますよ。

端午の節句に子供に教えたい事

端午の節句には「せいくらべ」をする風習がありますね。子供にしっかり伝えていくためにも、歌をおさらいしておきましょう!歌詞付きなので復習しやすいですよ。

オリガミで兜も折りますよね。でも20年近く折ってないので、雰囲気はわかるけど、どうだっけなーと覚えていないですね。こちらも合わせて復習しておきましょう。折り始めるとそうそう!と思い出しますね。

残念ながら人形を処分する時

さすがに粗大ゴミに出すのは気が引けますよね。やはり「人形供養」に出すのが一番いいです。近くの神社やお寺で人形供養をしていたらそちらに持って行くと良いですよ。

近くにない時、運ぶのが難しい時には、日本人形協会の「人形感謝(供養)代行サービス」を利用するといいですよ。「ゆうパック」で送れば、東京大神宮の人形感謝祭で供養してもらえますよ。

その他の方法としては、知人に譲る、ネットオークションに出す、幼稚園や児童館に寄付する。といったことが考えられますね。

みんなの五月人形